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地方移住で後悔しないためのチェックリスト ~松本市編~

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地方移住ブームの流れのなかで、自然豊かで文化的な街「松本市」は移住先として人気があります。

北アルプスの雄大な景色に囲まれ、音楽や美術といった文化的土壌も豊かな一方で、生活してみないと見えてこない課題もあります。

ここでは、移住で後悔しないためにチェックしておきたいポイントを整理しました。松本市ならではの事情も交えつつご紹介します。

1.住居と住環境

まずは住む場所選びです。松本市は市街地から田園地帯、山間部までエリアが広く、雰囲気も大きく異なります。

  • 市街地は利便性が高く、学校や病院も近い一方で地価や家賃はやや高め。
  • 山麓エリアや郊外では自然を身近に感じられますが、冬の雪かきや車移動が必須。

松本の中心地の雰囲気を普段から楽しみたいのであれば、当たり前ですがその近郊に住むしかありません。

中心地から少しでも離れれば、松本の街らしい雰囲気は感じられなくなります。家賃が安いからという理由だけで郊外の住むと後々後悔することになりかねませんので、注意が必要です。

住宅を購入するか賃貸にするかも重要です。いきなり購入すると後悔につながる可能性があるため、まずは賃貸や「試住」で生活感を確かめてみるのがおすすめです。

ちなみに家賃相場については、LIFULL HOME’SのWebサイトを参考にワンルーム・1K・1DK(マンション・アパート・一戸建て)の家賃相場をエリアごとにまとめてみました。(2025年9月時点)

松本市の家賃は東京・千葉・埼玉よりは安いですが、愛知と比べるとそれほど差は無さそうです。

長野県松本市5.45万円
長野市5.52万円
上田市4.37万円
東京都港区15.00万円
中野区10.22万円
八王子市7.00万円
神奈川県横浜市中区9.28万円
横須賀市5.58万円
千葉県千葉市中央区6.87万円
市川市8.11万円
埼玉県さいたま市大宮区7.70万円
川口市7.61万円
愛知県名古屋市千種区5.97万円
豊橋市4.74万円

2.仕事・収入の安定性

移住の最大のハードルが「収入の確保」です。松本市は長野県の中でも比較的求人は多いものの、給与水準は首都圏より低めです。

  • 医療・教育関係、公務員や観光関連は比較的安定した需要あり。
  • ITやリモートワークなら首都圏水準を維持できる可能性。

ただし、リモートワークに関しては今後さらに出社回帰が進むことも考えられるため、首都圏の企業に勤めながら松本に住むということが厳しくなってくる可能性もあります。

私の周りでもリモートワークが基本で、月に何度か東京の会社に出社という形態で働いている人がいました。

しかし、週2~3日は出社しなければならないルールに変更になり、結局松本で転職活動をせざるを得なくなったという話もあります。

そのため、移住先で転職できそうな業種・職種がありそうかどうかは、事前にチェックしておいたほうが良いです。移住後の仕事に関する市のHPもぜひご覧ください。

また、起業、副業、就農を検討する方もいらっしゃるかと思いますが、自治体からの支援や補助を受けられるため、各自治体のHPは要チェックです。

ちなみに長野県や松本市では、創業支援事業新規就農の支援事業も行っていますので、起業や就農を検討されている方はご覧になってみてください。

3.教育・子育て環境

子育て世帯にとって教育環境は重要な要素です。松本市は教育熱心な地域として知られ、進学校も多くあります。

  • 公立小中学校は比較的充実しており、学習環境も安定
  • 塾や習い事の数も市街地には揃っている
  • 自然体験活動も豊富で、外遊びを通じた学びがしやすい

当然ですが、郊外や山間部に住むと通学距離が長くなりがちなので要注意です。

また、大学に関しては長野県全体で考えても選択肢は多くはありません

松本市内の大学としては、国立の信州大学、私立の松本大学などありますが、自分に合った大学がない場合は都市圏に出ることが必須になります。

4.医療・インフラの把握

地方移住で意外と見落としがちなのが医療機関です。

松本市は「信州大学附属病院」や「相澤病院」など大規模な医療機関が揃っており、県内でも医療体制は充実しています。

ちなみに、2025年9月に森記念財団都市戦略研究所が発表した「日本の都市特性評価」の2025年版では、松本市は医師の多さや平均寿命・健康寿命の高さが特に評価されています。

ただし、郊外に住むと夜間救急や専門医療へのアクセスに時間がかかる場合もありますので、住む場所と医療機関の距離は必ず確認しましょう。

また、都市部と比べると口コミの良いクリニックなどはやはり少なめです。昔からやっているクリニックも多いので、仕方ない部分もあるとは思いますが。

5.日常生活コストの試算

移住すると「物価が安い」と思われがちですが、松本市は首都圏と大きな差はありません

  • 地元の農産物直売所などを除き、食料品は首都圏と大差なし。米がすごく安いということもない
  • ガソリン代は全国でもトップクラスの高さで、光熱費(特に冬の暖房費)は首都圏より高い傾向
  • 車の維持費は必須コストに
  • 家賃相場は首都圏と比べると安い傾向
  • 飲み会の回数は無駄な買い物は減る傾向

いずれにせよ、現時点の支出をしっかりと把握し、移住後に収支がどうなりそうかをシミュレーションをする必要があります。

我が家の場合は、飲み会や外食の回数、電車代、旅行代(宿泊費、交通費)が減ったことで支出は減りました。特に移住後は旅行先が近場で済むため、宿泊費や高速料金などの交通費が大きく減りました

6.地域コミュニティとの相性

松本市は移住者が多いためか、もともとこちらに住んでいる方と「適度な距離感」を感じられる街だと感じています。

しかし、町会や地域行事への参加が求められることもありますので、その際はこちらから積極的に関わっていく姿勢も必要です。一般的には、

  • 都会的な気楽さを求める人には「市街地」が合いやすい
  • 地域に溶け込みたい人には「郊外・山麓エリア」が向く

自分の性格やライフスタイルに合わせて、コミュニティの濃さを選ぶことが大切です。

7.趣味・余暇の充実度

松本市の大きな魅力は「自然・歴史・芸術」です。

  • 登山やスキーなどアウトドア派には理想的な立地
  • 松本城や美術館、音楽フェスなど文化的イベントも豊富

松本への移住を検討されている方は、この項目で心配されることは少ないのではないかと思いますが、自分の趣味が松本でどの程度楽しめるかを考えておくと、移住後の満足度が高まります。

また、松本市の情報発信サイトを見れば、移住後に楽しめそうかどうか想像ができると思います。私は以下のサイトで松本市のイベント情報や新しいお店の情報などをチェックしています。移住後の生活を想像しながら眺めてみてください!

松本市公式情報 新まつもと物語  ・号外NET松本 ・マツサイ(MATSUSAI)

8.気候・自然環境への適応

松本は「盆地特有の気候」で、良くも悪くも四季がはっきりしています。

  • 冬は氷点下10度近くまで下がることもあり、暖房・防寒対策は必須。
  • 雪かきが必要な積雪は年に数回あり。ただし、すぐ解けることが多く、生活に支障が出ることは少ない。
  • 夏は日差しが強く、日中は暑いが朝晩は涼しい。

観光では分からない「気候の厳しさ」をどう受け入れられるかがポイントです。可能であれば季節ごとに訪れてみて、実際の空気感を味わってみることをおすすめします。(冬は風も強く、寒い期間も長いため想像以上に大変です。)

我が家は冬の対策として、高機能のダウンジャケットやスノーブーツを新調したり、家を建てる際には床暖房をつけたりと予想外の出費がありました。

この寒さをクリアできるかどうかが移住の満足度の高さにつながるのではないかとさえ思うぐらい、気候・自然環境への適応は重要な要素だと考えています。

9.交通・アクセスの利便性

松本は車社会です。市の中心部であれば車がなくても問題なく生活が送れますが、それ以外のエリアでは不便なことが多いのも事実です。

  • 公共交通はバス・電車ともに本数が限られる。
  • 東京までは特急あずさで約2時間半、名古屋へは特急しなので約2時間。
  • 冬の道路凍結や渋滞も考慮が必要。

松本に住んでしまえば首都圏や名古屋方面へのアクセスはあまり気になりませんが、仕事や帰省の際には苦労するかもしれません。

10.買い物の利便性

市街地には大型ショッピングモール(イオンモール松本など)、市街地から少し離れた場所にもデリシアやツルヤといった地場のスーパーがあり、生活に困ることは少ないと思います。ただし、

  • 郊外に住むと最寄りスーパーまで車で15分以上かかることも
  • 2025年にPARCOや地元の百貨店が立て続けに閉店
  • どのお店に行っても品揃えが決していいとは言えない

買い物の観点からいえば、やはり都市部には劣りますショッピングが趣味という方にとっては松本で住むのはつらいかもしれません

11.防災・リスク確認

松本は比較的自然災害が少ない地域とされますが、完全に安心というわけではありません。

  • 断層が市内を走っており、地震リスクはある
  • 河川氾濫や土砂災害のリスクが高いあるエリアも
  • ハザードマップの確認は必須

松本に住んでいると、市の西側にそびえたつ北アルプスが街を守ってくれていると実感することがあります。台風が北アルプスを避けるような動きをしていた時は驚きました。

しかし、過去に市内の河川の氾濫や地震の被害が出たこともありますので、今後も注意が必要です。特に市内は複数の川が流れているので、ハザードマップは必ず確認するようにしてください。

12.移住者支援制度や行政サービス

松本市は移住者の受け入れに積極的で様々な支援を行っています。

※以下はいずれも令和7年度の制度です。

松本市UIJターン就業・創業移住支援事業補助金

東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、愛知県、大阪府から松本市に移住し、就業した方でいくつかの要件を満たした場合、移住支援金として2人世帯以上で100万円18歳未満の世帯員一人当たり100万円を加算単身世帯でも60万円の補助金を出しています。(制度の詳細はこちら

松本市結婚新生活支援事業補助金

婚姻届受理日・パートナーシップ宣誓日が令和7年1月1日から令和8年3月31日までの間で、二人とも39歳以下かつ前年の所得合計が500万円未満の場合に、住宅費や引っ越し代などの補助を最大70万円受けられる制度です。(制度の詳細はこちら

教育に関する制度

松本デュアルスクール

お試し移住者向けの制度です。

松本市と他都市の2つの学校双方で教育を受けることができる制度で、現在の住所地に住民票を置いたまま、松本市内の学校に学籍を異動させることができます。そのため、受入学校での就学期間も住所地の学校では欠席とならず、出席日数として認められます。詳細はこちら

お試し移住に関してはこちらをご覧ください。

小規模特認校

自然環境や少人数の特徴を活かした特徴ある教育を推進する学校に、市内の別の学区から通える制度。自然いっぱいの環境で教育を受けさせたい世帯向けにおすすめの制度です。詳細はこちら

創業に関する制度

市内で創業を目指す方向けに支援・相談できる制度がたくさん用意されています。資金調達から創業後のフォローアップまで手厚く支援を受けられますので、検討されている方は必見です。詳細はこちら

13.将来のライフプランとの整合性

最後に、移住が「一時的なもの」か「定住」か考える必要があります。

  • 定住を考えるなら、老後の医療や交通アクセスが重要
  • 子育て世帯なら進学後の通学や下宿の可能性も視野に
  • 資産としての住宅価値や相続も無視できません

短期的な魅力だけでなく、長期的な視点で検討することが大切です。

我が家は実家はそれぞれ長野県外のため、両親の介護や相続については今後検討する必要が出てきます。

ただ、それに縛られすぎて自分の今後10年、20年の人生を無駄にするのはあまりにももったいないと思います。

その時が来たらまた別の決断が必要になるかもしれませんが、それはそれで良いと思っています。

私は、今移住するという決断ができないのであれば、きっと10年後も20年後も移住の決断ができだろうなと思っていました。

今移住するという決断ができたのであれば、今後の人生もきっと柔軟な決断ができると信じています。

まとめ

松本市への移住は、自然・文化・利便性のバランスが取れていて、多くの魅力があります。しかし実際に暮らすとなると、気候や交通、生活コストなど観光では見えない部分が重要になってきます。

「住居・仕事・教育・医療」といった基礎的な要素に加え、松本特有の「気候・交通・防災・ライフプラン」まで含めて総合的に確認することが、移住で後悔しないためのチェックリストです。

もし何か一つでも大きく意思とそぐわないものがあるのであれば、注意が必要です。

一度の下見や旅行だけで判断せず、可能なら各季節ごとに下見に来てみたり、短期の「お試し移住」をして、生活リズムを体験することを強くおすすめします。

avalon
avalon
駆け出しブロガー
Profile
首都圏から長野県松本市に移住した30代、妻、子ども一人。
転職で減った収入を配当株投資で補い、信州ライフを満喫中。自身の経験が誰かの役に立てばと思い、ブログを始めました。
移住・投資・松本観光・登山など、いろんなコンテンツを発信していきたいと考えています。
どうぞゆっくりしていってください。

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